2026年10月20日(火)、広川町保健・福祉センター はなやぎの里 3階 多目的ホールにて、令和8年度 広川町障がい者等自立支援協議会 全体研修を開催しました。
今年度は、のぞえ総合心療病院 院長補佐の吉島秀和先生を講師にお迎えし、「精神疾患の理解を深める実践研修 ―こころの不調への気づきと福祉現場でのかかわり方―」をテーマにご講義いただきました。
自立支援協議会の関係機関に加え、町内外の介護支援専門員(ケアマネジャー)の皆さんにもご参加いただき、障がい福祉と介護の両分野から56名が集まりました。
ダイジェスト動画
講義の中から、吉島先生の言葉をいくつかご紹介します(約1分)。
研修の全編動画と講義資料は、協議会の参加機関の皆さまに限ってご案内しています。視聴をご希望の関係機関の方は、事務局(基幹相談支援センター シエル)までお問い合わせください。
研修の概要
- 日時:2026年10月20日(火)13:30〜15:30
- 会場:広川町保健・福祉センター はなやぎの里 3階 多目的ホール
- 講師:吉島 秀和 先生(医療法人コミュノテ風と虹 のぞえ総合心療病院 院長補佐)
- 内容:講義・質疑応答
- 参加者:60名(自立支援協議会関係機関、介護支援専門員等)
講義の内容
講義の内容は、事前アンケートで寄せられた参加者の声をもとに組み立てていただきました。「発達・知的障害と精神疾患の重なりについて詳しく聞きたい」「本人が『困っていない』と言う」「職員自身が疲れる・怖さを感じる」といった、日々の支援の中での悩みに寄り添った構成です。
「いつもと違う」に気づく
精神疾患の基本的な捉え方や、生物・心理・社会(Bio-Psycho-Social)の視点からその人を立体的に見ることを学びました。変化に気づくための比較の基準は、その人自身の普段の暮らしです。「いつから」「どの場面で」「どのくらい」変わったのかを、客観的な事実として整理することの大切さが伝えられました。
4つの事例から考えるかかわり方
講義の中心は、現場で出会いそうな4つの事例でした。
- 最近通所を嫌がるようになった方(発達・知的障害と精神症状の重なり)
- 「監視されている」と話す方(幻聴・妄想と興奮)
- 「消えてしまいたい」と話す方(死にたい気持ち)
- 「自分は困っていない」と受診を断る方
事例ごとに、最初に何を確認するか、どんな声をかけるかを、具体的な言葉で示していただきました。「問題行動」と一言で片付けず、行動の前後に何があったかを記録すること。苦痛を受け止めつつ、自分が確認できた事実を伝えること。つらい気持ちを打ち明けられたときには、受け止めたうえで、はっきりと尋ねること。どれも明日からの支援にすぐつながる内容でした。
医療・チームとの連携、支援者自身のケア
医療機関に相談するときに伝える情報の整理のしかたや、受診・退院後の支援のつなぎ方についてもお話がありました。また、支援者が一人で抱え込まず、怖さや疲れをチームで共有し、組織として支援を続けることの大切さにも触れていただきました。
講義の最後には、のぞえ総合心療病院で大切にされている「この世にあるすべての資源を治療のために」という考え方と、「すべての時には時がある」という言葉が紹介されました。
支援者の立ち位置は「半歩後ろ」
支援者の立ち位置についてのお話も印象的でした。支援者が立つのは、利用者さんの前ではなく「半歩後ろ」。本人が立ち止まったら、こちらも立ち止まる。本人を引っ張って「回復へ、回復へ」と言っても、なかなか回復はしない。だからこそ、本人の半歩後ろぐらいが一番望ましい――ご家族にもよく伝えているという言葉で、本人のペースに寄り添う支援の姿勢を教えていただきました。
質疑応答
後半の質疑応答では、事前アンケートで寄せられた質問をはじめ、会場からもさまざまな質問があり、吉島先生に一つひとつ丁寧にお答えいただきました。
参加者アンケートから
研修後のアンケートには37名の方にご回答いただきました。
- 研修の内容に満足した:100%(「とてもそう思う」「そう思う」の合計)
- 講演の内容は理解しやすかった:97%
- 明日からの支援や連携に活かせそうだ:100%
特に参考になった内容としては、「『いつもと違う』変化や、こころの不調のサインへの気づき方」と「本人とのかかわり方・声のかけ方」を、8割を超える方が挙げていました。
自由記述では、次のような声が寄せられました(一部抜粋・要約)。
- 簡単に「問題行動」と決めつけず、まずは背景を確認し原因を考えたい。
- 行動の前後の記録が大事とのことだったので、前後の様子を思い返して記録していきたい。
- 本人の「半歩後ろ」に立つという、支援者の立ち位置が参考になった。
- 一人で抱え込まない。気持ちを受け止めつつ、はっきり尋ねる。
- 精神疾患の講義を受ける機会がかなり少なく、とても貴重な時間だった。
また、今後取り上げてほしいテーマとしては、「支援者のメンタルヘルス」「精神疾患の理解(今回の続き:自殺予防・幻覚妄想・家族支援など)」が多く挙がりました。いただいたご意見は、今後の研修の企画に活かしてまいります。
おわりに
吉島先生には、お忙しい中、事例を交えた分かりやすいご講義をいただき、心より感謝申し上げます。また、ご参加いただいた皆さま、お疲れさまでした。
障がい福祉と介護の分野が一緒に学べたことも、今回の大きな成果でした。今回の学びが、それぞれの現場での支援や、分野をこえた連携につながっていくことを願っています。